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山口文化会館での懇談会

1956年、11月、伸一が開拓指導で、初めて萩の座談会に出席した折、入会して間もない時子が、思い詰めたような顔で尋ねた。
「この信心で、本当に病気がよくなるんでしょうか」
彼女は、1か月ほど前に入会していたが、この時、肺結核、そして腎臓結核に苦しんでいたのである。
「どこか、お身体が悪いんですか」
「はい。結核なもので・・・」
そのやりとりを、彼女の横で、固唾をのんで見詰めている壮年がいた。
国鉄に、勤務する、夫の伊郷忠治であった。
彼も、また、気管支炎を病み、咳や痰に苦しんできたのである。
忠治は、未入会であったが、一人では自由に歩く事もできぬ時子に頼まれて、会場に連れてきたのだ。
伸一は、彼女を見ながら、宿命と病の関係について語っていった。
「医学の力は大切ですが、病を治せるかどうかは、根本的には、人間自身の生命力の問題になります。
また、病に苦しまなければならないという宿命を転換しない限り、一つの病を乗り越えても、また、別の病に苦しむことになる。
仏法は、その生命力を涌現し、宿命を転換する道を説いているんです。
私自身、かつては肺結核で苦しんできましたが、それを乗り越えることができたんです」
体験に裏打ちされた、確信あふれる話には、人間の生命を揺り動かす力がある。
伸一の話に、伊郷時子は”必ず仏法で宿業を打開してみせる!”と奮い立った。
夫の忠治も、信心をしてみようと思った。
奮起(ふんき)した時子は、早速、三人の友人に声をかけ、山本伸一らが宿舎(しゅくしゃ)にしている旅館での座談会に連れて行った。
三人は、伸一の話を、目を輝かせて聞き、正しい宗教の必要性を痛感し、その場で、入会を決意したのである。
時子は、弘教(ぐきょう)の喜びを知った。
胸に込み上げる歓喜(かんき)と希望と確信の三重奏(さんじゅうそう)が、生命に躍動(やくどう)
の調べを奏(かな)でていた。
以来、体調の良い時には、積極的に学会活動に参加した。弘教に励んでいると、自分が病気であることさえ忘れていた。
いつの間にか、常に全身を覆(おお)っていた気だるさが消え、気力がみなぎるのを感じた。
そして、この年の十二月には、床上げすることができ、翌年の四月には、それまで続いていた血尿(けつにょう)も止まった。
八年余の闘病生活にピリオドが打たれたのだ。
戸田城聖(とだじょうせい)は、よく語っていた。
「御本尊は、大宇宙の生命を最も強く結集された当体である。
その御本尊(ごほんぞん)と感応(かんのう)するから、こちらの生命力も最も強くなるのだ」
広宣流布(こうせんるふ)のため、人びとの幸せのために、生き生きと活動する時、みずみずしい生命力があふれる。
妻の時子の体験を見て、夫の忠治も、意欲的に信心に励むようになり、二人は、萩の広宣流布の推進力となってきたのである。
伸一は、懇談会で伊郷夫妻に声をかけた。
「伊郷さんご夫妻が、お元気なので嬉しい。
奥さんは、初めてお会いした時の姿が、まるで嘘のようです」
妻の時子が答えた。
「はい。病気だけでなく、経済的な窮地(きゅうち)に立ったこともありましたが、今は本当に幸せです。
折伏も夫婦で百世帯近くになります」
「さすがです。今のお二人の姿は、二十年の間、本当に戦い抜いたならば、必ず宿命を転換し、幸せになれるという証拠です」

(新・人間革命第25巻 共戦より抜粋)

by tomotiyoo | 2018-03-15 10:00 | Comments(5)

Commented at 2018-03-15 21:01 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2018-03-15 21:02 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by tomotiyoo at 2018-03-15 23:54
非公開さん
そうなんだ
ご冥福 お祈りします
例の 二人が 治るという 確信が ないみたいだから 読んで欲しくてね
そんな わけです
Commented by ハキム at 2018-03-16 04:05 x
山口闘争から
中国方面はB長は開拓長です(´▽`)ノ
Commented by tomotiyoo at 2018-03-16 12:34
ハキムさん こんにちは
開拓長ですか
いい名前ですね
東京は 本陣長
先生のおひざ元に 恥じないように しなくっちゃ(^^♪